2018年2月26日月曜日

【一ヶ月後の万年筆】パイロット カスタム74

万年筆への想い
万年筆を使ったことがなかった自分がカスタム74<中字>を、一ヶ月間ほぼ毎日使ってみて思ったことを書いておこうと思う。自分はもう何年も前から、万年筆で書かれた文字をとても美しいと思っていました。その中でもブルーブラックで書かれた、インクの濃淡が判りやすい太めの文字が好みでした。でも万年筆は高価なもの、取扱いが面倒なことは知っていたので、敬遠していたのです。それなのに、去年の暮れにプラチナ万年筆のソフトペン/採点ペン(万年筆のカートリッジインクを使うサインペン)を使い始めて、万年筆への思いが再燃。あれこれ調べていたら、知り合いから中古の万年筆を譲って頂けることになりました。

万年筆の正しい持ち方
それまでは、ごく普通のボールペンやサインペンしか使ったことがなかったので、初めての万年筆は当然のように重く感じ、また万年筆特有のペン先を水平に保ちながら文字を書く動作に馴染めず、書きづらく感じました。そんなこともあって、万年筆をどう持つのが正しいのかいろいろ調べましたが答えは判らず、初日からカスタム74でいろいろ持ち方を試しました。結果、キャップを着けずにねじ部分を持つ形に自分は落ち着きました。たしかに誰もが想う、キャップを着けて胴軸の後ろ辺りを持ち、寝かせて持つ文豪風の持ち方は、紙当たりも柔らかく疲れにくそうではあったのですが、思い描いた線を引くことが難しく感じました。自分にとっては、多少疲れようともキレイな文字が書ける方が重要です。できるだけ軽く、また重心が中央かやや前にある方が、自分には合っているのだと感じました。結局自分の持ちやすいように持つのが、正しい持ち方だと思います。

パイロット カスタム74<中字>
自分では買わなかったと思われる要因の、仏壇カラーやクリップの形は、一ヶ月も使っていると愛着も沸いてくるのか、気にならなくなっていました。自分の個体は94年製ととても古いにも関わらず、クリップなどの金色の部分もキレイで、軸やキャップも意外と目立つ傷がありません。めっきや軸の素材がとても優秀なのではないかと思っています。さらに前述した、インクの濃淡が判りやすい太めの文字が好みなので、中字は自分にとても合っていること。キャップを着けずに持つようになったので、ショートサイズの万年筆ではないほうが結果的には良かったこと。この二点からも、パイロット カスタム74<中字>は初めての万年筆として、とても良かったと思っています。

パイロットのブルーブラックとブラック
この一ヶ月間でほかに判ったことは、インクでペン先が結構汚れること。インクの減りが思ったより早いこと。インクの匂いが絵の具のような匂いだったこと。水に濡れても読めなくなるほど消えてしまわないこと。紙質により書き心地やインクの色が変わることなどです。パイロットのカートリッジインクに、耐水性が多少あることが判ったのは自分にとって収穫でした。ブルーブラックとブラック、どちらも乾燥後に紙の上に水を流して見たところ、表面のインクが流れはじめ一見消えてしまいそうに見えるのですが、紙に染み込んだインクはかなり頑固で、読めなくなるほど消えてしまうことはなさそうです。これ以上の耐水性を求めるなら、自分は素直にゲル顔料のボールペンにします。

原稿用紙に黒の縦書き
自分が万年筆に惹かれるきっかけとなったのは、ブルーブラックのインクで書かれた文字を美しいと思ったからでしたが、パイロットのブラックにもある程度の濃淡が出て、原稿用紙に文字を書いたときはそのブラックのインクの方が美しく感じたこともあり、今はブラックのインクが好きになってしまいました。自分でもよく解りませんが、ノートに横書きのときはブルーブラックでも良かったのに、原稿用紙に縦書きのときは、黒じゃないとダメなんです。さらにノートに比べ薄い紙の原稿用紙の書き心地がとても良かったので、原稿用紙に黒の縦書きがお気に入りになってしまいました。

万年筆で「書く」
最後に、そもそも自分はそんなに「書く」ということを必要としていません。この一ヶ月間は万年筆という物珍しさから毎日使っていられたのですが、今後は正直わかりません。机の中にしまわれたままとなり、インクが固まってしまうのか?それとも二本目の万年筆を買ったり、インクをiroshizuku<色彩雫>に替えたりして使い続けられるのか?

ともかく自分は「書く」という目的を見つけなくてはいけないのです。